エインズレイ ファクトリーレポート

イギリス工場製造工程

Glazing 白釉薬
グレイジング(釉薬塗)

まずは、グレイジング(Glazing)とは何かをご説明します。

これは、一般に「白磁」と呼ばれる商品を思い浮かべいただいた際、表面がキラキラと輝いてますよね。
このニスのような透明な釉薬塗りの工程の事を言います。

そして、グレイズ(glaze)とは、透明ガラス上薬のことです。
グレイズの成分は焼成時点の温度で素焼きのボディー表面の目より少し大きく膨張するようになっています。
そうすることで、窯入れ後のクールダウンの際、ボディーに、ギュッと定着します。

この定着がうまくいかないと、アンティーク品などで時折見られるヒビ割れ状態(貫入)となってしまいます。

この貫入は、日本の抹茶のお茶碗などですと、”味わい”として重用されたりもしますが、洋食器ではあまりオススメできるものではありません。

このグレイズを塗布する工程には、職人さんの手だけでおこなうものと、機械でおこなうものがあります。
この手作業は、今では殆どの窯元で見る事ができなくなってしまいました。

しかし、エインズレイでは今でも全体の95%をこの手作業で行っているのです。

残りの5%の機械塗布は、業務用目的の一部の商品を作る時に用いられています。

まずは、手作業から見ていきましょう。

均一に塗布する感覚は、熟練工の技と言えます。
一般の方がおこなっても、均一にはなりません。
液だれしてしまうと、見栄えも悪いものとなってしまいます。

この時の職人さんは、この道30年以上だそうです。

左の写真は、塗布前の素焼きと並べて置いてもらったのですが、綺麗に塗布されているのがお分かりですか?

あと、この時のグレイズはみず色でした。
焼成するとこの色は無くなり、無色透明になります。

では、何故、色がついているの?
これには、2つ理由があります。

1つは、職人さんが、塗布する際、均一に塗布できているかを見やすくしています。

もう一つは、グレイズ自体の製造毎に色を変えておきます。ある時はピンクとか。
グレイズの品質に問題が発生した場合、いつ製造されたグレイズかが分かるように色づけしているのです。
長年の知恵なのですね。

さて、これでいよいよ2度目の焼成です。
この焼成をグロストファイアリング(Glost Firing)と呼びます。

こちらの電気窯でおこないます。

1100℃で9時間焼成します。この窯入れの前には、カップやプレートなどの袴部分など、 地面と接する部分のグレイズを綺麗に拭き取る作業が行われます。
この工程は、接地面に焼付いてしまい、接地面が汚くなることを防ぎます。
ですから、商品の底(ティーカップであれば、袴の裏)は、ザラザラとしているのです。

それでは、最後に業務用商品向けの機械塗布の様子をご覧いただきます。

クランクと呼ばれる3本の台座に乗せたいくつものお皿がベルトコンベアの上を流れていきます。
そして上からシャワーのようにグレイズを散布します。

その後、オートメーションで流れるように、窯で焼かれていきます。

この機械焼成された商品は、裏にポツポツポツと3本のクランクの跡が残りますのですぐ分かります。

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目次
  • 01イギリスの陶磁器の街。ストーク・オン・トレント
  • 02エインズレイとファクトリーショップ
  • 03イギリス工場 製造工程
  • 04イギリススタッフ紹介
  • 05エインズレイ家7代目。マイケル・エインズレイのお宅へ
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