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フリーランス・ライター/英国アンティーク研究家 小関由美さん
第1回 「現在のものが将来はアンティークに。英国アンティーク&コレクターズ・アイテムの世界『コロネーション』」

こんにちは! 小関由美と申します。
今回からこちらにて、コラムを書かせていただくことになりました。
まずは自己紹介ですが、最初は編集者だったのがいつのまにかフリーランス・ライターとなり、
それもやめてイギリスへ行き、帰ってきてアンティーク・ディーラーを始めました。
現在はそれらすべての仕事をやりつつ、日本とイギリスを行ったり来たりしています。

アンティークは、もともとイギリスに住んでいた時に、
友人がアンティーク・ディーラーをしており、手ほどきを受けてアンティーク好きとなりました。
帰国後ぶらぶらしていたら、英国アンティークの本を出さないかと言われ、再びイギリスへ。
資料を買いあさったり、取材をしていく中でアンティークの知識が深まり、
それとともにコレクションも多くなっていったところ、
それを譲ってほしいと言われたのがきっかけで、今度はディーラーとなりました。

今までいろいろなアンティークを買い集めてきたので、
中には自分のブームが終わってしまったシリーズなどもあるのですが、
今だに飽きないのが「コロネーション」。
コメモラティブ、メモラヴィアなどとも呼ばれ、いわゆる英国王室の戴冠式のときなどに作られた、記念グッズです。
どちらかといえば、マニア向けのアンティーク・アイテム。素材としてはガラスや陶器の器など。
飾っておくものが一般的ですが、最近では小物入れやTシャツなど、使用目的のアイテムも増えてきました。
私がコレクションしているものでいちばん古いのが、
ヴィクトリア女王の1887年のゴールデン・ジュビリーのときのガラス製飾り皿です。
これは売り物だったのですが、私の不手際で一部を欠けさせてしまったので、今では家に飾ってあります。


コロネーションいろいろ。右奥のガラスプレートが、欠けさせてしまったヴィクトリア女王のもの。

私のアンティークの師匠曰く「ディーラーはコレクションしてはいけない。
いちばんいいものはお客様のために売ること」という教えがありまして、
ディーラー業を始めてから、私のコレクションはほとんど売ってしまいました。
しかしこうしたものや売れ残ったものなどは、大切にとってあります。
売れ残りであっても、いずれも気に入って買い付けてきた逸品ばかりです。
それにふと思い出して、店に久しぶりに並べてみると「ずっとこういうの探してたんです!」と、
感激しながらお買い求めくださるお客様がいらしたりして、
アンティーク業って、不思議でおもしろい商売だな〜とこうしたときに思います。


エリザベス2世が戴冠したときのもの。ガラス製のホットポット。

コロネーションはアンティークだけではなく、現在も作られています。
最新版は2011年のウイリアム王子とケイト・ミドルトンさん(現在はキャサリン妃)のロイヤル・ウエディング。
私も買いました。エインズレイの磁器のベルです。
これは持ち手の部分がゴールドのクラウンになっているのと、
ベルの裏側に家系図が入っているデザインが珍しく、気に入っています。


エインズレイ社の昨年のコロネーション。裏に家系図が。


友人のアンティーク・コレクションとエインズレイ社のコロネーション。

ロンドンではエマ・ブリッジウォーターの飾り皿も手に入れました。
これは1940年代にコロネーションをデザインしたウエッジウッドのデザイナーにテイストが似ていたのが、
気になって購入しました。
公式にこうしたロイヤルのコロネーションを作る許可をいただくには、厳しい審査があります。
許可を得られたブランドというのは、イギリスでも一級品のブランドである証。
来年はエリザベス女王のダイヤモンドジュビリー(在位60周年)です!
このまま行くとヴィクトリア女王の在位より長くなりそうなので、
彼女のコロネーションがいちばんたくさん作られることでしょう。
そうして現在作られたものが、100年後にはアンティークとして、どれくらいが残っていることでしょうか?
私が買ったものたちも、将来のアンティークとして残ることができるよう、今から大切にしているところです。

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