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フリーランス・ライター/英国アンティーク研究家 小関由美さん
第2回 「本を作る際の、裏話的なことなど」

昨年の秋に新刊『英国アフタヌーンティー&お菓子』(講談社)という本を出版したのですが、
この本の内容が決まったのが3月11日のこと。
決まってからはあっというまに内容、撮影、取材と進み、濃密な本作りの時間をすごしました。
「本を出したいんですけれど、どうしたらよいですか?」と、よく聞かれることがあるんですが、
私の場合は、しりあいの編集者がいる出版社に企画を持ち込み、打診して、
OKが出たら進行&出版という具合になっています。
持ち込んだまま放置されることもあるので、適当におうかがいをたてつつ、
その間に他の企画を進めたりしています。
企画がとおるのに2〜3年かかることもよくあります。

さてOKがでたら、あっというまに制作です。
人というのは不思議ですね〜。やりたいと思っていながらも実際にGOサインが出てからあわてて詳細を考えます。
ブックデザイナーを決め、撮影がある場合はカメラマンを決め、イラストが必要だったらイラストレーターを決めます。
今回の本の撮影は共著者、英国菓子研究家の小澤祐子さんがやっていらっしゃる
「ブリティッシュケーキハウス」にて。
自然光でなるべく撮影したかったので、お店をそのままスタジオがわりにさせていただきました。
彼女と本のお仕事をご一緒するのは初めてだったのですが、
驚くほど意見が一致して、びっくりするやら、うれしいやら。
たとえば、お菓子を載せて撮影するお皿のチョイス。
彼女の手持ちと、私のアンティークの食器、エインズレイの食器をお借りしたものと、
いろいろ取りそろえたんですが、40種類ものお菓子がさまざまなお皿を使って撮影され、
それがまたお菓子とお皿、そして風景がぴったりとマッチしていたのが、うれしかったですね。
うまくいえないけれど、なにかがおかしい、と悩み始めると撮影がストップして、いい流れが止まってしまいます。
カメラマンや私たちの集中力はとぎれ、お菓子は時がたつと、おいしそうにみえないものもでてきます。
今回はそれがまったくなく、どのカットをとってもすばらしく、おいしく写りました。


『英国アフタヌーンティー&お菓子』でご紹介した英国のお菓子たち。
左は、1960年代のステンレス・トレイに乗せた、バナナブレッド。
右は、バッテンバーグケーキの色調にあわせて、ヴィンテージの花柄テーブルクロスを。


エインズレイの食器を使って、英国菓子を撮影。
左は、イングリッシュバイオレット&ココナッツケーキ。
右は、エリザベスローズ&マディラケーキ。

その後は原稿です。
これがまたたいへんなのですが、約1か月ほどかかって書き上げ、
校正という文字や文章の訂正などを数回おこなって、印刷&製本となります。
ふつう、著者はここでおしまいなのですが、私はアンティーク販売などと同じように、
自分の本を商品のひとつと考え、イベントを自ら開いたり、
ときには主催者にひらいてもらったりして販売しています。

出版業界も今は多様化の時代なので、さまざまな本が本屋さんに並びきらないほど出版され、
欲しい本が埋もれてしまって、探すことができない場合もよくあります。
私の企画する本はイギリスに特化したニッチーなものが多いので、
こうしたイベントなどでご紹介し、私の本に知っていただく機会を作っています。
また、読者の方に直接お会いして、率直なご意見やご感想をいただくのも、今後の参考とはげみになります。
そうしてひとつの本が完成し、イベントなどをひととおりやり終えると、
次の本へとまた動きだして、ということで20年が過ぎました。
本を作る仕事が大好きなので、飽きることがありません。
うれしいことに今回の本はご好評をいただき、初版が発売約1か月で完売となり、
重版となったので、早くも次の本のお話をいただいているところです。

新刊はエインズレイ・ジャパンさんでも販売していただいているので、ご興味のある方はぜひごらんくださいね。
レシピ以外にも、イギリスのティーハウスやアフタヌーンティーのご紹介もしています。


◇「英国アフタヌーンティー&お菓子」小関由美(著)・小澤祐子(お菓子制作)

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