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英国食文化研究家/BRITISH CAKE HOUSE オーナー 小澤桂一さん
第4回 「イギリスのティータイム風景」

私達は湯河原で「英国菓子教室&サロンBRITISH CAKE HOUSE」をOPENしている。
ここでは英国で学んだ豊かさを、食、それも英国菓子やTea Timeというイギリスの象徴的な文化を、
楽しみながら覗き見ていただき、我々日本人が英国から学ぶべき様々な美しさ素晴らしさを共有したいと願ったからである。

ライフスタイルの多様性は、現在ようやく日本でも浸透しつつある考え方である。
単純にお金を持っているとか使えるか、などではなく、生き方考え方が前に出た表現の多様化。
こと日本では、表面的な部分でも形として表現していれば、
それなりに見えたり、見てもらえたりするので、
言わばインスタント(なんちゃって)も認められるところが、まだ日の浅い特権だとも言える。
外出時にそれなりの服装と、流行の化粧でバック等を持ち、お洒落な街をインスタント知識で振る舞えば、
相手は「どこのマダム」かと、取り扱ってくれるだろう。
例え、評判のケーキを持ち帰り、自宅のちゃぶ台で、一人目の前のテレビとにらめっこしながら味わっていたとしても、だ。

だからと言って贅沢な空間で、贅沢な品々に囲まれて生活するのが全てではない。
そもそもその贅沢という言葉の意味が、大きく異なるかも知れない。
さてそこで、イギリスのティータイムを覗き見てみる。

ご存知の様に、英国人はお茶タイムが好きだ。
「ティーブレイク」という、小休憩と水分補給もしばしばあるが、これを別として、
例えばティータイムを過ごすというと、イメージするのは何だろう?
イギリスと言えば「アフタヌーンティー」だろうか。
これも大事な、英国を感じられる、素敵なお茶時間に違いない。

しかし、英国の豊かなティータイムはこれだけではないのだ。
むしろ、ライフスタイルとしてのティータイムは異なるのだ。

その一つは、村のティールーム。
英国の優雅なライフスタイルはカントリーサイドにある。
その美しい暮らしに潤いを与えてくれるものに「Tea Room」がある。
村の活性化のためにガイドブックに登場する様な有名店でなくても、
素朴であたたかい何気ない店で提供されるフツーの英国菓子と特別でない紅茶。を楽しむ時間。
訪れる人はほとんど夫婦で、年齢層も高い。
しかしそこに身を置くと、何とも贅沢で何とも豊かで、
そこかしこにまさにイメージする英国の「紳士・淑女」を垣間見れることだろう。

そしてもう一つのティータイムの風景といえば、ふつうの家(家庭)。
ここでいうふつう、とは、英国の昔から変わらない様な生活を
現代的なライフスタイルに溶け込ませている様な家庭をイメージしていただくと良いのだが。

都会のささやかなバックヤードの庭でも、カントリーサイドの自慢の庭でも、
キッチンに置かれた蓋つきの容器から取り出されるような、お母さんの地味だけれど愛情のこもった
歪な英国菓子を紅茶とたっぷりのミルクを添えてテーブルに運んで、夫婦で、家族で過ごす午後のお茶時間。

これに勝る、満ち足りた掛け替えのない時間と記憶にはなかなか出会う事は少ないだろう。

特別でない人生の瞬間に生まれ育まれるささやかな喜びの積み重ね。
時に友達を招いたり、大切な人をお迎えしたり。
ここでおもてなしする、手作りの英国菓子と紅茶、
そしてそれを取り巻く器やテーブルセッティングや環境と人々の笑顔。
その中で育まれた英国的感性の芸術にエインズレイの器があることも大切な事実である。

こんなにも美しい英国のティータイム風景。
まさに私達が学ぶべき、「英国美」の一つである。

この「美学」から学ぶものは多い。それをお伝えするべくBRITISH CAKE HOUSEも生まれたのである。

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