ハロウィンティーパーティー

英国紅茶研究家/ライター 斉藤由美さん
第1回 「憧れの食器とのステキな付き合い方」

私が洋食器に興味を持ち始めたのは、紅茶の仕事を始めてしばらく経ってからのこと。
高級な洋食器はもちろん憧れではあったが、なかなかその一歩を踏み出せなかった。
おそらくその時は、買うならある程度しっかりと揃えたいという・・・揃えなくてはいけないという思いが、
憧れへのハードルを高くしていたようにも思える。

そんなある日、夢を見た。
朝の日差しの中で憧れのティーカップからアールグレイのやさしい香りが立ちのぼる夢。
「こんなふうに朝を迎えてみたい」という思いが募って、思い切って一客購入したのが、
私の世界が広がる大きなきっかけとなった。

私は、気に入った食器に出会ったときには、まずティーカップ&ソーサー、
そしてケーキプレートを1セットのみ購入するようにしている。
なぜなら、食器は使ってみなくてはわからないことがたくさんあるからだ。
ゴージャスに見えても意外と日常使いで活躍するものもあれば、
シンプルに見えても来客用に適しているもの、ティータイムよりも食事時に活躍するものなど、
実際に使用してみると購入前のイメージとは違う側面があることに気づくこともしばしば。
そうやって使っていく中でよく活躍するものを、目的に合わせて無理せずに少しずつ増やしていくようにしている。
ティータイムに活躍しているシリーズは、さらにティーカップ&ソーサーとケーキプレート、
そしてティーポットなどという具合に、
そして食事時に活躍しているシリーズは、ディナープレート、ボウルなど、
少しずつアイテムを増やしていくようにしている。

たくさん集まった一客&一枚のティーカップ&ソーサーとケーキプレートは、自宅でのティーパーティーで大活躍。
ゲストの人数分、違う種類の食器をセッティングし、ゲストに選んでいただくようにしている。
「私、この色が好きなの」「この食器、見たことないから使ってみないな」
「あ〜、取られちゃった、私もそれがいいと思ったのに」・・・
ティーパーティーは、スタートから大盛り上がり。
ゲスト同士初対面であっても、ティーカップの好みから話題が盛り上がり、すぐに打ち解けられる。


好きなカラーを選べるのも楽しい
(ペンブロック アセンズ ティーカップ&ソーサー)

高価な食器を買うときに、「もしも割ってしまったら、どうしよう・・・」などと、
ついまだ起こってもいない最悪な事態を想像して、躊躇してしまうという話も耳にする。
食器に興味を持っていなかった頃の私は、よく食器を割ったり、欠けさせたりということが多々あった。
しかし不思議なもので食器との向き合い方が喜びに変わってからというもの、
ほとんど割ってしまったという経験はない。
無意識のうちに扱い方が丁寧になり、食器を大事に扱うことを通じて、
モノを「壊してしまう」というケアレスミスが、生活の中からだいぶ減ったように感じる。
それでももし不注意で割ってしまったときは、少しの反省と、たくさんのありがとうを言うようにしている。


電子レンジにも使え毎日大活躍しそう(カミールシリーズ)

ステキな憧れの食器達とは、人生を通じて長いお付き合いをすることになる。
だからこそ、しっかりと納得して選びたい。
一度に全部揃えようなどと大きなことを考えなくたって大丈夫。
少しずつ少しずつ、食器と会話を重ねる時間が、目に見えない小さな幸せをもたらしてくれているのだから。

11月1日は「紅茶の日」※。秋も深まり、これからさらに温かい紅茶がおいしくなる季節。
この季節にこそ、憧れのティーカップ&ソーサーをワクワクしながら選んで、
あなたのティータイムに迎えてみませんか?
毎日が、きっと彩りと輝きを増すことでしょう。

※11月1日は紅茶の日
伊勢の国(現在の三重県)の船主だった大黒屋光太夫(だいこくやこうだゆう)が、
嵐のため船が難破しロシアへと漂着し、10年近くもの間帰国することができなかった。
ようやく帰国許可が下り、1791年ロシアのエカテリーナ2世の茶会に招かれ、
そこで日本人として初めて紅茶を飲んだと考えられている。
外国の正式な茶会で初めて紅茶を飲んだ日本人だったのではないかというこの歴史的史実に基づき、
1983年に日本紅茶協会が11月1日を「紅茶の日」とした。日本だけの記念日である。

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