イギリス工場の製造工程の説明も、いよいよ特殊技法の商品説明をもって最後とさせていただきます。
本章では、いくつかあるエインズレイの特殊技法の中から陶花についてお話させていただきます。
陶花 Floral
故ダイアナ元妃のロイヤルウェディングの際、来賓の方々にお渡しになられたティアラの贈り物。
このティアラにはエインズレイの陶花職人達のお花(陶花)が活けられていたのは有名なお話になりましたね。
古来中国や、ローマ帝国時代より陶器製のお花飾りは、製作されていたという記録があります。
しかし、ボーンチャイナ製の花、陶花に関しては、1860年代にヴィクトリア女王からのご注文を賜ったエインズレイの陶花が世界で最初と記録されています。
当時も今も晩餐会の食卓を彩るのは、生花。
但し、生花はどうしても枯れてしまいます。そこで、日常の食卓を彩るお花として陶花が求められるようになりました。
また、公式の晩餐会におても、お客様をお出迎えする際は、生花。
お食事がスタートすると、お花がお食事に入らないようにするために、陶花に置き換えられたという記録も残っております。
さて、その陶花の制作方法をご紹介いたしますね。
まずは、素材のところでもご紹介したように、プラスティッククレイにアラビアゴム(樹脂であり、ゴムではありません)を混ぜ合わせます。
アラビアゴムは、職人さん達が加工しやすくするためのものであり、素焼きの時点で焼成して無くなってしまいます。
つくられたお花は、乾燥室で24時間以上乾燥させます。
この素焼きのお花を、別に制作されたポット(壺)などに活けられます。
活ける土台(土にあたる部分)もボーンチャイナのプラスチッククレイが使われます。
その後土台を固めるための焼成、さらに、Glazing(白釉薬)した上で、また焼成。
さてここからOn-Graze Decoration(上絵付け)が行われます。
この上絵付けですが、釉薬毎に焼成温度に違いがあります。
従って、何度も何度の焼成と上絵付けををくりかえしていきます。
単純には言えないのですが、基本は、色が多いほど焼成回数も多くなり、完成までに時間を要するといえるでしょう。
この陶花、今では 5名の女性のみのチーム(2013年11月30日時点)で制作されて、世界80か国へ送っているのです。
エインズレイではこの明るい女性達をレディースチームと呼んで、皆で大切にしているんですよ。