イギリスで最もおいしい食事は、朝食のイングリッシュ・ブレックファーストとアフタヌーンティーのティーフーズと言われてきました。
最近はイギリスにもグルメブームが広がり、美味しい料理やレストランが増えましたが、
行って納得するのはやはり朝食とティーフーズです。
ホテルでアフタヌーンティーを注文すると、決まって三段重ねに盛られた
ティーフーズが出てきます。これはかつて1840年ごろ、7代目ベッドフォード侯爵夫人アンナマリアが、ブルードローイングルームと呼ぶ応接間で、
紅茶とフードを食したことに由来します。
応接間に置いてあるテーブルは食卓用とは違う背の低いローテーブルで、しかも小さく、フードの皿とティーセットをすべて載せることができなかったのです。
そこで考え付いたのが皿を3段のスタンドに乗せることでした。こうすることで3枚の皿に食べ物を盛ることができます。
フーズはサンドイッチ、焼き菓子のスコーン、それからプチケーキやタルト、全ての物を手でつまんで食べられるようにしました。食べる順番は
塩味のサンドイッチ、次に温かいスコーン、最後にスイーツです。どの段に何が置かれていても食べる順は塩味から始まり、最後にスイーツです。
スイーツを食べて口が甘くなったらまたサンドイッチを食べたい、女性は
何度も行ったり来たりしてもいいことになっていました。男性はこの後に
控えたディナーのために、食べすぎないよう一巡したら終わるように
言われていたのです。もちろんこのようなマナーは昔のこと、今は
自由です。
ティースタンドはすぐにテーブルに置かれますが、時にスコーンだけ空の
場合があります。これは焼きたての温かいのを後で持ってくるという意味です。トラディショナルなアフタヌーンティーは、今も3段のティースタンドが見られますが、近頃はヘルシー志向で、フーズのサイズが小さくなり、スイーツもゼリー菓子や砂糖菓子など、乳脂肪の少ない傾向になってきました。
エインズレイのケーキスタンドは2段です。最近のイギリスのアフタヌーンティーでよく見かけるタイプです。ヘルシー志向を取り入れ、食べすぎないように、
やや少な目を意識してきれいに盛るためです。スコーンも小さめのサイズで、数個盛れば十分という考えです。
でも、もし、もっと欲しい場合は、別のプレートでホテルのように後から
持ってくるのも楽しみな演出です。その場合に最適なのがイングリッシュ
バイオレットB&Bプレートです。ブレッド&バターの意味です。
後から温かいものを別に出すので、まるで家庭のようなサービスです。
おっと、紅茶の最高のサービスは、一家団欒を思わせるホームティーでした。