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第2回 「スコットランドで生まれたスコーン」

 アフタヌーンティーの食べ物の中で、欠かせないのがスコーンです。
ビスケットでもパンでもなく、子供の拳ほどの大きさで、表面がごつごつ
していて、石のように見えます。
 昨年はエリザベス女王の在位60周年をお祝いするジュビリーの年
でした。そのエリザベス女王も、アフタヌーンティーでは食べ、戴冠式
にもちょっと関係しているのが、このスコーンです。

 そのスコーンの発祥地はスコットランドですが、6世紀にアイルランドから
やってきたケルト人と、体を青く塗ったピクト人の間で抗争が続けられました。
その両民族の和平に力を注いだのが、アルピン王家のケニス1世です。
 ケニス1世は、バースの街にスクーン城(SCONE)を建て、政治を行いましたが、
その際、その城に「運命の石」(66x41x28センチ)と呼ぶ
重さ152キロの石の上に乗って戴冠式を行いました。

 運命の石は、聖ヤコブが頭を乗せて休んでいるときに、
神の啓示を受けたと言われた石だったのです。それ以来、スコットランドの王は
この石の上で、戴冠式を上げるのが慣わしになりました。
 しかし、1296年イングランドのエドワード1世が、スコットランドに攻め入り、
石を戦利品としてロンドンのウエストミンスター寺院に持ち帰りました。
しかもこれを椅子の下に埋め込んで、イギリスの王の戴冠式の時は、
その椅子に座って行ったのです。
 エリザベス女王も、この椅子に座って戴冠式を行いました。
スコットランド人は尻を載せることを屈辱的に思っていましたが。1996年、
700年ぶりにスコットランドのエディンバラ城に返還されたのです。

 焼き菓子のスコーンがいつごろから作られたのかは不明です。
しかし、紛れもなくスコットランドで誕生したスコーン(SCONE)、そしてこの
運命の石があったスクーン城(SCONE)は、同じ文字が使われ、
同じ発音で今日まで伝わってきました。
 スコットランドの伝統的なスコーンは、運命の石のように直方体で
カットされ、アフタヌーンティーのフードと一緒に出されます。
この二つの繋がりは、伝説の中で今日まで親しまれながら、
紅茶を飲む度に想い出され、楽しまれているのです。

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