第7回 「ダージリン茶園のランチパーティー」
ダージリンで二つの茶園を経営するシャンティーヌさん。
日本から茶園の見学をお願いすると、ニューデリーからわざわざ
駆けつけてきて、20名もいるわれわれをもてなしてくれます。
紅茶工場には工場長が住むバンガローがあって、
バンガローと言ってもゲストハウスのような立派な造りです。
広々としたベットルームが5,6室、応接間、ダイニングルーム、広いガーデンと、
正に別荘といったところです。
かつてイギリス人が茶園を経営していた頃は、農園主が住み、
来客をいつでも、もてなすことができるように造られた茶園の
邸宅でもあったのです。
腕利きの料理人もちゃんといて、チキン、ポーク、さまざまな野菜カレー、
ナンやサモサも出来立てを出してくれるのです。
シャンティーヌさんがバンガロー中を歩き回っていて、皆と写真を
撮ったり、話をしたり、紅茶の説明をしたりと忙しく応対してくれます。
「今日はバンガローの中は全て開放です。ガーデンにもテーブルを出しています。ヒマラヤが見えます」
ガーデンにも焼きたてのナンが運ばれ、スパイシーなカレーを食べながら、
ヒマラヤを見ながら、見下ろせば茶園が広がり、もう、最高の気分です。
ゆっくりと時間が流れ、お腹が一杯になってくると、ダイニングテーブルの
カレーが片付けられて、さまざまなスイーツが並べられました。
大きなティーポットでダージリン茶がカップに注がれます。淡い橙色の紅茶から
湯気とともにマスカットのような甘酸っぱい香りが漂ってきます。
山岳の天気は変わりやすく、急に日差しが薄れてくると、冷たい霧がどこから
ともなく降りてきました。あっという間に辺りは真っ白になり、茶園も遠くに
見えていた茶摘さんたちも見えなくなりました。
熱々のダージリン茶がゆっくりと喉を通り、体を温めてくれます。
工場の下のほうで賑やかな声が聞こえてきました。
霧の中から茶摘さんたちが茶葉を背に負って戻ってきたのです。
摘んだばかりの茶葉が、また橙色の熱いダージリンに変わります。